コマンドトレーニング=共通言語を作る

シリウスのレッスンで、よくお話する内容を大きく分けると、

(1)トイレトレーニングの進め方、失敗を防ぐ飼育管理方法
(2)犬の甘咬みの対処方法
(3)様々な刺激に慣らせる方法
(4)コマンドトレーニングの方法
(5)問題行動の対処方法

の5つに分けられます。この中で、今日は(4)と(5)の関係についてお話したいと思います。

(4)コマンドトレーニング

(4)のコマンドトレーニングとは、ある合図(号令)に従って、犬に決まった動作をすることを学習させることです。シリウスでまず初めに練習するのは、オスワリ・フセ・マテ・オイデ・オフの5つのコマンドです。

それ以外には、マット、ツイテ、ゴロン、タッチ、テイク、ジャンプ、・・・など、レベルが上がるにしたがってどんどん新しいコマンド(トリック)を練習していきます。

当スクールの継続クラスのK9ゲームクラスでは、バックアラウンド(後ろ歩きで飼い主さんの周りを歩く)、バウ(お尻を上げて前肢と頭を下げるおじぎのポーズ)など、生活に必要な、というより、かわいい芸を教える感覚で楽しみながら高度なトリックを教えていきます。

(5)問題行動

(5)の問題行動は、犬によって異なりますが、例えば、散歩中に人や犬に吠えるのを直したい、家の中から外の物音に吠えるのを直したい、くわえたものをなかなか放さなくて、取り上げようとすると攻撃的になるのを直したい、など、何かピンポイントで困っていることがあって、それを直すための方法、ということになります。

特に成犬の場合、多くの飼い主様は、(4)のコマンドトレーニングをマスターしたい、というよりも、(5)の何か困っていることがあるからそれを直したい、ということでスクールにご連絡をいただくことが多いように思います。

なので、オスワリやフセは別にできなくてもいいし、賢くならなくていいけど、吠えるのだけなんとかしてほしい、という発想になりますし、そのお気持ちはとてもよく分かります。でも、実は(4)と(5)というのは、とても関係が深いんです。(4)がよくできる犬というのは、(5)のちょっと困った行動が出てきても、比較的簡単に修正することができます。

シリウスでのトレーニング方法

シリウスでは、コマンドトレーニングについて、「人と犬との共通言語を作る・教える」という表現でお話します。犬は元々日本語の意味は分かりません(もちろん英語も)。オスワリという号令が出た後に座るとご褒美がもらえるという流れが繰り返されることで、オスワリの後に座ることを覚えていきます。

そして、オスワリと言われたら座る、という人と犬の互が理解できる言語が二者の間で成立し、共通言語を使ったコミュニケーションを取ることができるようになるのです。

もし、お互いが理解できる言語を作らなければ、人は自分勝手に犬に話しかけ、時には怒鳴り散らし罰を多用し、犬は理解できないまま吠え続ける、時には攻撃的になる、そんな一方通行の関係しか築けません。共通言語を持たない宇宙人と生活しているような状態です。その橋渡しをするのがコマンドトレーニングです。

ですので、コマンドトレーニングは一見、問題行動の直接的な解決法に見えないかもしれませんが、マスターしていくことで、人も犬もお互いとのコミュニケーション方法が分かってくるのです。

犬は応用が苦手

日本人が英会話をマスターする上で、色々な場面で使うことが大切ですが、コマンドトレーニングも同じです。この時に知っておいて欲しいのが、「犬は応用が苦手だ」、ということです。

日本中で食餌前に「オスワリ・マテ」ができる犬は数え切れないほどいるでしょう。

しかし、信号待ちの時にオスワリ・マテができる犬はどれくらいでしょうか。1割いるかな~といった程度ではないでしょうか?なぜなら、食餌前の「オスワリ・マテ」は365日朝・晩、常に飼い主さんが指示を出すのに対し、信号待ちのオスワリ・マテは多くの犬が指示された経験がないのです。

犬は応用が苦手なので、練習してきた状況と異なった状況下に置かれると、できていたことができなくなります。家のリビングやしつけ教室で色々練習していても、違うところで練習しないとなかなか成果が出せないのです。それが近くに犬がいたり、インターホンがなったときだったりすると尚更です。

ですので、人側も色々な場面で指示を出す癖を付けていくことが大切です。ただ、この時に、頭ごなしに指示を出すのではなく、犬が指示を聞けるようにタイミングに注意しながら、成功率を高めていきましょう。

“犬との会話を楽しむ”そんなつもりでコマンドトレーニングを続けてもらうと、コミュニケーションがより取りやすくなり、困った行動の解決にもつながっていきます。IMG_20150630_145006(辻村)

[写真]おすましした顔でバウのポーズを決めてくれた雷(ライ)くん。