犬とロボット

先日、SONY製のロボットAIBOのサポートが終了するというニュースを見ました。インタビューに答えていたAIBOのオーナーである女性は、10年以上AIBOと暮らしていて、旅行にも連れて行くほど可愛がっていて、サポート終了をとても残念に思われていました。

 

犬の飼い主さんと何ら変わりない愛情をロボットに注いでいる姿にどこか違和感を覚えたのは、私がロボットと一緒に暮らしたことがないからなのかもしれません。掃除ロボットを所有している人の多くが、名前を付けて愛着を感じているという話も聞きます。犬が大好きな私は、犬とロボットの違いをつい並べ挙げようとしてしまいますが、科学技術の進歩に伴って、私たち人間が持つ、犬に対する愛着とロボットに対するそれの違いは小さくなる一方なのかもしれません。

 

とはいえ、犬という生き物は、やはり人間がプログラミングしたものではありません。当たり前のことですが、彼らの行動や感情、欲求は、彼ら自身の中から出てくるもので、私たち人間ではすべてを計り知れません。しかし、私たちは家族の一員として犬と暮らしていると、つい、勝手な感情移入をしたり、こちらの都合を押し付けたりしてしまい、彼らが感じていることや、見ている世界を無視してしまいがちです。

 

例えば、特に小型犬と生活していると、色々な服を着せてあげるのは、とても楽しい趣味になります。しかし、犬が服を着ると落ち着きがなくなって、常に身震いしていたり、体温が上がり過ぎてぐったりしているのにそれを見過ごして、ただただ飼い主の自己満足で着せているとしたら、それは人間の楽しみを犬に押し付けているだけになります。でも、犬が服を着ることに慣れていて、可愛い服を着た時に周りの人から称賛されることに犬も喜びを感じているのであれば、服を着せることは必ずしも人間側の押し付けとは言えないでしょう。

 

他には、犬と出かける場所について、犬のことを無視して連れ歩く人が多いように感じる時があります。様々な環境に慣らせるという意味では、犬連れOKのショッピングモールやイベントに連れて行く、という経験も良いと思います。そのような場所に慣れることは、とても良い社会化トレーニングになるでしょう。しかし、そのような場所に行くことが犬にとってとても楽しいかどうかは疑問です。私は自分の犬をショッピングモールなどに連れていくのなら、その近くに大きな公園や軽くハイキングできるような場所がないかどうか探します。自分の用事に犬に付き合ってもらうのなら、お返しに犬がのびのびとできるところに連れて行ってあげよう、という感覚です。

 

また、犬を遊ばせる=ドッグランに連れて行く、と思われる方も多いようですが、特に他の犬との付き合いが得意でない犬とその飼い主さんにとっては、ドッグランほど疲れる場所はありません(苦笑)。私はよく、「無理してドッグランに行かなくていいんですよ。それより、あまり人や犬のいない山や砂浜に連れて行って、少し長めのリードに付け替えて散歩してあげてください」と言います。その方が、犬が本当にイキイキと楽しそうに過ごしている姿を見られると思います。

 

「ドッグトレーニング」や「犬のしつけ」というと、犬に色々教え込んで、人の生活に合わせられるように教育する、というようなイメージを持たれるかもしれませんが、本当は、飼い主さんに、犬の表情や行動を読み取る目を養ってもらい、犬を犬として付き合う感覚や、犬との適度な距離感を持ってもらうことを日々説明しているように思います。ロボットは、すべて人の都合が良いようにプログラミングされているのかもしれませんが、生き物である犬は、そうではありません。それが犬の面白さだと思っています。(辻村)

 

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